作業療法士は英語での読み方は?海外と日本の違いは?

医療業界では作業療法士を「OT」と呼びますが、実は何の略なのか、英語での読み方がわからないまま使っている人もいます。この記事では、海外の作業療法士について興味を持った人のために、OTの英語表記や、海外と日本の違いについてわかりやすく紹介しています。

作業療法士の英語での読み方

作業療法士の英語名は、Occupational Therapist、「オキュペーショナル・セラピスト」です。この頭文字を取って「OT」と呼ばれています。OTは、Occupational Therapyの頭文字でもあるため、海外では作業療法自体を指す省略語としても用いられています。

ちなみに、理学療法士はPhysical Therapist(フィジカル・セラピスト)で、PTと呼ばれています。医師や薬剤師以外で、資格を持った医療従事者のことを、総称してHealth Professionsと言います。

海外で作業療法士として働くには?

日本で作業療法士の資格を取って働いているうちに、海外でもスキルを身につけたい、他の国での療法を学んでみたいと思う人もいることでしょう。しかし、日本で取った資格が他の国で有効なのかなど、事前に知っておくべきことがたくさんあります。ここでは作業療法士として海外で働くための条件や、海外で働く方法などをわかりやすくまとめてみました。

作業療法士が海外で働くための基本条件

海外で作業療法士として働くには、次の基本条件を満たしていることが必要です。文中のWFOTとは、World Federation of Occupational Therapistsの略で、世界作業療法士連盟を指します。

  • 卒業した学校が、WFOTの認定校であること
  • 滞在する国が、WFOTに加盟していること
  • 国家認定の作業療法士免許を取得していること

これから作業療法士を目指して海外での活躍も視野に入れておきたいのであれば、WFOT認定校で作業療法士としての国際教育を受けて、卒業認定を取得しましょう。もちろん、日本の国家試験で作業療法士の資格を取ることも必要です。

現在すでにWFOT認定校を卒業した上で作業療法士としての資格を持っているのであれば、滞在国がWFOTに加盟しているかどうかを確認する必要があります。希望する国がある場合は、作業療法士協会に加盟国かどうかを問い合わせてみましょう。

また、この基準が採用されるかどうかは国によって違いがあります。たとえば、アメリカでは作業療法士の養成基準が高いため、WFOT認可であっても日本で取得した資格が通用しません。

アメリカで作業療法士として働くためには、アメリカの作業療法士養成校を卒業し、資格を新たに取得する必要があります。また、州によって法律が異なり、資格の最終手続きなどにも違いがあるので、事前に勤務地に合った条件を確認することが大切です。

作業療法士として海外で働く方法は?

では、実際に作業療法士として海外で働くためには、どのような方法があるのでしょうか?

まずは、WFOT認定校を卒業して資格を取得し、海外での就職先を探すという方法があります。青年海外協力隊やシニアボランティアという形で、海外で従事することもできます。すでに高水準な医療を持った国に行く場合もありますが、発展途上国に派遣されることも多いです。

そういった国々では、新しく作業療法科を設置する病院や事業に参加できるチャンスも多いため、医療に従事する志が高く、チャレンジ精神を持った人に向いているといえるでしょう。

また、ワーキングホリデー・ビザを取得して、その国の言葉や文化を学びながら、作業療法士として働く方法もあります。ワーキングホリデーを使って働くには、年齢制限やビザでの滞在期間が設けられているため、まずは事前にしっかりと調べてみましょう。

海外で働くことを目指して、やるべきこと

将来海外で作業療法の仕事をしたいのであれば、日本にいる間に準備しておくことがいくつかあります。まずは、医療英語の基礎知識をしっかりと養っておくことです。作業療法士の勉強だけでも簡単ではないから、卒業して働き出してからと考えるかもしれませんが、勤務を始めてから医療英語を学ぶのはもっと大変です。

医療用語を学ぶ際に、「英語ではどう言うのか」ということをその都度心に置いて、少しずつ知識を積み重ねていきましょう。実際に勤務するまでに、どれくらいの準備期間があるかを確認できたら、その間に自分が希望している国の言語を習得する必要があります。

作業療法士は、患者とのコミュニケーションがとても大切な職業ですので、まずは日常会話が成立しなければ意味がありません。医療用語だけでなく、その国の言葉に不自由しないように勉強をしておきましょう。

海外の作業療法士の年収や給料

海外で作業療法士として働くことを目指すときに気になるのが、給料や年収です。「本当に生活していけるのだろうか?」という不安が大きいと、なかなか夢に向かって進むことができません。海外で働いている日本人の作業療法士の年収や給料、現地の人はどれくらいの収入があるかなど、現実的な情報です。

日本人の作業療法士は、海外でどれくらい収入があるの?

国によって、日本人の作業療法士の収入にはかなりの差があります。アメリカやオーストラリアなどは作業療法士の資格を得ること自体のハードルが高く、専門職として分野が確立されているため、年間収入も800万円くらいと考えられます。日本国内での平均収入が、約400万円であるのと比べると、収入は2倍ということになります。

東南アジアやアフリカ諸国の中には人件費そのものが安い国もあるため、作業療法士のように資格を持った医療従事者であっても、生活していく上で十分な収入が得られない地域もあるでしょう。タイとベトナムを比較してみると、タイで働く作業療法士の月収が約20万円であるのに対し、ベトナムでは6万円程度と、大きな開きがあります。

作業療法士として青年海外協力隊などで海外で仕事をする場合は、あくまでもボランティアなので、仕事に対する収入はゼロです。ただし、食費や住居費など生活に必要な費用や、渡航費用についてはサポートがあります。

現地の人はどれくらいの収入?

海外で働くことを視野に入れる上では、他の国の作業療法士がどの程度収入を得ているかも気になるところです。作業療法士の需要が高い国の中でも、アメリカやカナダ、オーストラリアなどは、養成基準が高かったり資格取得人数に制限があるため、その分収入も高くて保障も充実しています。

アメリカ人の作業療法士の一例を取ると、国家試験で資格を取った後も、州が決めた講習を受けて資格を更新します。新卒の年収は約700万~750万円ですが、勉強会への参加や勤務ポジションの難易度などで、どんどんスキルを上げていけば、収入もそれに応じてアップしていくのが良いところです。

オーストラリアやカナダのように福祉に力を入れている国では作業療法士の需要が高く、収入も年間700万円以上の場合が多い上、作業療法士自身も手厚く保障されます。現地の人にとっては、老後に備えた福祉制度や医療保険などの保証があることも手伝って、人気の高い職業です。

作業療法士の仕事、日本と海外での違い

専門職である作業療法士の仕事は日本と海外ではどのような違いがあるのでしょうか。ここで、作業療法士の需要が多いアメリカとスウェーデンを例に取って、日本との違いを比べてみましょう。

アメリカと日本の違い

専門学校で学ぶ期間は、日本では3年制か4年制ですが、アメリカでは最低でも6年間の過程が必要です。修士の学位を取る必要があるため、普通の学科を一定の成績でクリアしないと、OTの修士コースを受講できない教育システムになっています。そのため、かなり勉強熱心でないとOTの資格を得ることが難しいのがアメリカの作業療法士です。

日本では、作業療法士の国家試験に合格すれば資格を得ることができます。ところが、アメリカでは、国家試験に合格後、自分の働く州でライセンスを取得する必要があります。アメリカは州ごとに法律が違うため、州によって作業療法士ができる仕事も違ってきます。

また、アメリカではOTに限らず、サービス残業という言葉自体が存在しません。定時になれば自分の仕事は終了するか、もしくは時給よりも高額な超過勤務代を稼ぎたい人が頑張って残業するかのどちらかです。

患者が使う保険によって療法がどれくらいの時間受けられるのかが決まっているため、OTのスケジュールが組みやすいということも勤務時間がきっちり決められる理由のひとつでしょう。

スウェーデンと日本の違い

スウェーデンで作業療法士になるためには、大学の作業療法学科で3年間の専門教育を受ける必要があります。ただし、スウェーデンはWFOTに加盟しているので、日本でWFOTの認定校を卒業して作業療法士の国家資格を取得していれば、日本人でも働くチャンスのある国です。

スウェーデンは福祉国家として有名です。日本やアメリカのような民主主義とは少し考え方の違う「社会民主主義」が高負担高福祉のスウェーデン国家の基本で、大部分の機関が税金によって運営されています。そのため、所得による医療サービスの差はほぼなく、作業療法を必要としている患者には、細やかなサービスが提供されます。

スウェーデンも日本と同じように広い範囲で作業療法士が活躍しています。病院や診療所、サービスホーム、デイケアセンター、補助器具センターなどが主な場所ですが、障害を持った人や高齢者が交通を利用しやすいように工夫している交通機関改善所や、公的設備を障害者に合わせて設計する事務所などにもニーズがあります。

スウェーデンと日本で行う作業療法はほとんど同じで、日常生活に必要な作業の指導であるADLや、学校や職場での活動の機能援助、補助器具の援助などが主な業務です。福祉理念の中に余暇活動を入れているスウェーデンでは、患者の余暇活動機能の補足として、患者の趣味や、生活の質の向上に取り組む業務にも寄り添うのが特徴です。

日本では、勤務する場所によって違いはありますが、担当する患者との時間や訪問先などは前もってある程度スケジュールが組まれていることが多いです。ただ、スウェーデンでは自分の担当する患者から「○○がしたい」と連絡が入れば駆けつけるということもあるようです。

作業療法士は、国によって資格の取り方や給与、仕事の内容が違います。将来、作業療法士として海外で活躍することを目指すのなら、しっかりと下準備をして自分の夢に向かっていきましょう。